小児科の医師は、まだ上手く病状の説明ができない子どもに問診をして、診療に必要な情報を聞き出す能力が必要です。子どもの扱いが上手いだけでなく、保護者と円滑なコミュニケーションを図る能力も重要と言えるでしょう。保護者との信頼関係が築ければ、子どもの診療もスムーズに進められるはずです。小児患者と保護者の両者を相手にする小児科の業務では、コミュニケーション能力の高い看護師の協力が欠かせません。

また、小児科には消化器系から循環器系や皮膚科、整形外科に至るまで、あらゆる分野の疾患を抱える小児患者が来院します。そして、発熱や発疹など軽い症状でも子どもを小児科に連れて来る保護者が多いため、小児科医は要領良く迅速に対応するスキルが求められるでしょう。成人患者とは異なり、医師や看護師の指示に従わず、注射や採血に抵抗する小児患者を上手に宥めることも重要なスキルと言えます。

このような特殊性を持つ小児科医の数は他診療科に比べて少なく、医師不足が叫ばれているのが現状です。待合室が患者や保護者で混み合うため、小児科では子どもたちが待ち時間に飽きないよう、キッズスペースを設けるなどの工夫が施されています。さらに、小児科の待合室には親が患者以外の子どもを一緒に連れて来ることも珍しくなく、さまざまなウイルスの感染リスクを下げることが重要です。そのため、待合室に高性能の空気清浄機を設置したり、患者用のスリッパを使用の度に消毒する機械を導入したりする小児科が多くなっています。